季節の話題より
「これはただ事ではない」とつぶやきながら、五兵衛(ごへい)は家から出てきた。
今の地震は、別に烈しいというほどのものではなかった。
しかし、長いゆったりとしたゆれ方と、うなるような地鳴りとは、老いた五兵衛に、
今まで経験したことのない不気味なものであった。
・・・物語はここから始まります。
高台に住む庄屋の五兵衛は海水が沖合へ退いていくのをみて津波の襲来に気が付き、
収穫の祭りに気をとられている村人に危険を知らせる為に、
刈り取ったばかりの自分の田の稲束に火をつけました。
火事を知らせる鐘が鳴り村人が高台に集まると、眼下では津波が村をのみこみ、
五兵衛がとった行動に命が救われたことに気が付きました。
1854年(安政元年)に襲った南海の大地震に際し、紀州・広村(現在の和歌山県広川町)
で起きた実話をもとに明治の文豪・小泉八雲が短編集の中で紹介し、
後にこれを基に小学校教師であった中井常蔵氏が書き直した短編「稲むらの火」です。
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」3月11日午後2時46分、三陸沖を震源に発生した地震。
マグニチュード9.0で日本国内観測史上最大。
高さ10メートルを超す津波により、多数の家屋や漁船、車両が押し流され、
岩手、宮城、福島の太平洋沿岸部は壊滅的な被害を受けた。
更に、福島第1原発で水素爆発、放射能漏れ等が発生し原子力災害緊急事態を宣言した。
ニュースを見ながら、もし自分ならどうするだろう?と自問自答し、
当たり前のようにご飯を食べていることが、本当に幸せなんだと感じた一週間でした。
各市町村で支援が行われています。自分に出来る範囲で協力したいと思います。
(信州民報 3月23日付け)
1月の気象状況は、日本海側での降雪量が多く、
東北から北陸地方にかけての山沿いでは3メートルを超える積雪となり、
入広瀬(新潟県)では積雪が4メートルを超え、
統計を開始した1981年に次いで第2位の記録となりました。
一方、太平洋側では降水量がかなり少なく、西日本太平洋側では1月としては1946年以降で第1位の少雨、
東日本太平洋側でも第2位の少雨となりました。
月平均気温は西日本と沖縄・奄美では平年値(平年値:1981年〜2010年までの平均値)より約-2℃とかなり低く、
関東甲信越でも-1℃と低く寒い1月となりました。 (気象庁HPより抜粋)
上田地域でも暖かい12月から一転し、寒い1月になった事から、
諏訪湖の御神渡を期待しましたが残念ながら見られませんでした。
諏訪の最低気温-10℃以下の日が三日間あったものの、連続していないことが原因のようです。
(平成になり御神渡が出現した年は、最低気温-10℃以下の日が二日連続で2回以上ありました)
さて、信州大学科学講座を聴講してきました。
19日に南箕輪キャンパスで国立天文台の縣先生による「地球外生命を探す」、
20日に松本キャンパスで縣先生の「天文学の歴史と将来計画」と
日本気象協会の下山先生(元長野気象台長)の「天気予報ができるまで」です。
地球外生命=宇宙人? という夢のある話を科学的根拠に基づき説明していただき、
久々にワクワクした気持ちになりました。
最近の天体観測技術の進歩により、太陽系以外で目には見えない惑星が500個以上見つかっています。
この惑星から水、オゾン、メタンなどが分析されると生命の可能性が出てきます。
宇宙人と交信できるかもしれませんネ?
天気予報ができるまでの講演で印象的だったのが、
下山先生は
黒い雲がアッという間に一面に広がる状況を見て、
気象データや数値予報データだけに頼らず、
目、肌、香りなど五感で大気を観察し、天気予報を心掛けているそうです。
天気予報を聞かなくても、神経痛で低気圧や天気の変化を当てる人がいるのも納得します。
冬は暖かい温泉が一番ですね。
いつまでもポカポカ暖かく、肌がツルツルしています。
でも、少し経つと肌が乾燥してきてカサカサになり保湿クリームが必要となります。
一方、こんなに乾燥しているのに
なぜ洗濯物が乾かないのか不思議ですね?
空気中には水分である水蒸気が含まれています。
この水蒸気の量は気温により決まり、気温が低いと少なく、高いと多くなります。
空気中に取り入れ出来る最大の水蒸気量を飽和水蒸気量といい、
例えば気温が0℃の時は4.8g/m3、30℃の時は30.4g/m3になります。(図、グラフ参照)
30℃では0℃の6倍以上の水分を空気中に取り入れることができます。
つまり夏の方が多くの水分を空気中に蓄えられることから洗濯物が良く乾きます。
逆に寒い冬では空気中に取り入れられる水分が少なくなかなか乾きません。
洗濯物が乾かないのに、肌がカサカサに乾くのはなぜでしょうか?
それは肌には体温があるからです。
肌の表面の空気は体温により30℃程度に暖められ、
30.4g/m3まで水分を空気中に溜めることができます。
しかし、周囲の気温が0℃の場合は最大でも4.8g/m3の水分しかないので、
肌の表面の近辺は絶えず乾燥した状態になり、肌から水分が抜け易くなります。
洗濯物もストーブで温めておいて外に出した瞬間は、水蒸気が出て湯気になる様子が分かります。
体温がある肌はこの状態が続いているものと思えばよいでしょう。
1月11日は鏡開きです。
正月に神や仏に供えた鏡餅を下ろし雑煮などで食べますが、
この時お餅の表面は水分が蒸発してひび割れています。
風呂上りなどでちゃんとケアをしないと肌もこんなふうになっちゃいますよ(+_+)
(信州民報 1月7日付け)
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